
糸リフトは切らずにフェイスラインを引き上げられる治療として人気がありますが、施術後の「腫れ」がどの程度続くのか、不安に感じて踏み出せない方は少なくありません。腫れの強さや引くまでの期間には個人差があるものの、おおよその経過を知っておけば、仕事や予定の調整もしやすくなります。
この記事では、高崎CLINIC W院長・髙橋渉医師(医学博士/東京大学)が、糸リフト後の腫れが起きる仕組みから、ピークの時期、回復までのタイムライン、長引かせないための注意点まで、ダウンタイムの実態を解説します。
糸リフト後に腫れが起きる理由:組織への刺激と炎症反応

糸リフトでは、コグ(とげ)のついた特殊な糸を皮下組織に挿入し、たるんだ組織を引き上げて固定します。この過程で、針が通った経路や糸の周囲の組織に細かなダメージが生じます。
体はこのダメージを修復しようと働き、その一環として炎症反応が起こります。炎症は決して異常な反応ではなく、組織がコラーゲンを新たに作り出し、糸を定着させていくための自然なプロセスです。腫れやむくみは、この炎症に伴って一時的に現れる症状であり、回復に向かう正常な経過の一部だと考えてよいでしょう。
挿入する糸の本数が多いほど、また引き上げ幅が大きいほど、組織への刺激も相応に大きくなり、腫れも出やすい傾向があります。むくみやすい体質の方や、血行がよくなりやすい状態でも腫れが目立ちやすくなります。
腫れの出方には、糸を挿入する部位も関係します。皮膚が薄く血管が豊富なこめかみや目尻まわりは内出血が出やすく、頬の下部やフェイスラインは引き上げの負荷がかかるためつっぱり感が出やすい傾向があります。同じ施術内容でも、体質や生活習慣、施術当日のコンディションによって腫れの強さは変わるため、経過には幅があると理解しておくと安心です。
腫れのピークはいつ?術後1〜3日の経過と変化
腫れのピークは、一般的に術後2〜3日が目安です。施術直後から翌日にかけて腫れやむくみが現れはじめ、2日目から3日目あたりで最も目立ちやすくなります。
施術当日は、針を刺した部分の軽い赤みや、頬・こめかみまわりの張った感覚を覚える方が多くみられます。翌日になるとむくみがやや強まり、フェイスラインがぼんやりとして見えることもあります。これは引き上げの効果が消えたわけではなく、むくみが効果のラインを一時的に覆い隠している状態です。
ピークを越えると、3日目以降は日を追うごとにむくみが軽くなり、引き上げのラインが少しずつ見えてきます。痛みについても、ピーク時を過ぎれば多くの場合、徐々に落ち着いていきます。
腫れのピーク時に感じやすいのは、頬やフェイスラインの重だるさや、寝起きのむくみの強さです。とくに朝は横になっていた影響で水分がたまり、むくみが強く感じられることがありますが、日中に体を起こして過ごすうちに和らいでいきます。この時期は無理に表情を大きく動かさず、安静を意識して過ごすことが、その後の経過を穏やかにするうえで役立ちます。
1週間後・2週間後・1ヶ月後の経過目安(タイムライン)
回復の経過には個人差がありますが、目安となるタイムラインを以下にまとめます。
| 時期 | 腫れ・むくみの状態 | 見た目・生活への影響 |
| 当日〜3日目 | 腫れがピークに達する | 張りや軽い痛みを感じやすい |
| 4日目〜1週間 | むくみが徐々に軽快 | 引き上げのラインが見えはじめる |
| 1〜2週間 | 見た目の腫れがほぼ落ち着く | メイクで目立たない程度に |
| 3〜4週間 | むくみがほぼ解消 | フェイスラインがすっきり |
| 1〜3ヶ月 | コラーゲン生成が進む | 自然な仕上がりに近づく |
見た目に関するダウンタイムは1〜2週間程度が一つの目安です。1ヶ月ほどでむくみのほとんどが解消され、引き締まったフェイスラインを実感しやすくなります。糸の周囲ではコラーゲンの生成が続いており、最終的な仕上がりが見えてくるのは3ヶ月後ごろが目安です。
なお、ここで示した日数はあくまで一般的な目安であり、糸の種類や本数、挿入部位、体質によって前後します。回復が早い方では1週間ほどでほとんど気にならなくなる一方、内出血が広く出た場合などは2週間以上を要することもあります。経過が想定より遅いと感じても、痛みや赤みが日ごとに軽くなっているのであれば、多くは正常な範囲内です。
腫れと一緒に出やすい症状:内出血・つっぱり感・ひきつれ

糸リフトのダウンタイムでは、腫れ以外にもいくつかの症状が現れることがあります。
内出血は、針が細い血管に触れることで生じる青あざのような変化で、数日から1週間ほどで黄色みを帯びながら薄くなり消えていきます。出やすい位置や程度には個人差があります。
つっぱり感やひきつれは、糸が組織を引き上げて固定していることによる感覚で、口を大きく開けたり笑ったりした際に強く感じやすくなります。これは糸がしっかり効いているサインでもあり、組織が糸になじむにつれて2〜4週間ほどで和らいでいくのが一般的です。
このほか、針を刺した部分の軽い赤みや、皮膚表面のわずかな凹凸が出ることもあります。多くは時間の経過とともに肌になじんで目立たなくなります。皮膚を寄せて固定した影響で、頬の表面に小さなくぼみやえくぼのような変化が一時的に見えることもありますが、これも組織が落ち着くにつれて改善していきます。一般に、強い炎症症状は施術後3日から1週間が最も目立ちやすく、その後は徐々に和らいでいく経過をたどります。
仕事・外出に影響する期間の目安
腫れや内出血の程度にもよりますが、デスクワークなど体への負担が少ない仕事であれば、術後すぐに復帰される方が多くみられます。マスクを着用すれば、頬まわりの腫れや内出血をある程度カバーできます。
ただし、人前に出る機会が多い職種や、はっきりとした見た目の回復を優先したい場合は、腫れがほぼ落ち着く1〜2週間を目安に予定を組むと安心です。大切なイベントや写真撮影などの予定がある場合は、少なくとも2週間以上の余裕をみて施術日を設定することをおすすめします。
なお、パーマやヘアカラーは頭皮への刺激が糸の入った部分に及ぶおそれがあるため、また歯科治療は口を大きく開ける動作が必要になるため、いずれも術後1ヶ月ほどは避けるのが望ましいとされます。こうした予定がある方は、施術日との兼ね合いをあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
腫れを長引かせないためのNGアクション(飲酒・激しい運動・入浴)

腫れを長引かせる最大の要因は、血行が過度に促進されることです。施術後しばらくは、次の行動を控えてください。
- 飲酒:アルコールは血行を促進し、内出血や腫れ、赤みを悪化させるおそれがあります。術後1週間ほどは控えましょう。
- 激しい運動:汗をかくような運動も血流を高めます。1週間〜1ヶ月を目安に、強度の高い運動は避けてください。
- 入浴・サウナ:湯船やサウナで体温が上がると腫れが強まりやすくなります。施術当日はシャワーで済ませましょう。
このほか、糸が組織になじむまでの間は、口を大きく開ける、硬いものを強く噛む、顔を強くマッサージするといった動作も避けるべきです。うつ伏せ寝や横向き寝も患部を圧迫するため、しばらくは仰向けでの就寝を心がけてください。ハイフやマッサージなどの施術も、術後1ヶ月程度は控えましょう。
腫れが引かない・悪化している場合のサイン
通常の経過であれば、腫れはピークを越えてから日ごとに軽くなります。一方で、次のような場合は通常の経過から外れている可能性があり、自己判断で様子をみずに施術を受けたクリニックへ相談してください。
- 1〜2週間を過ぎても腫れが引かない、むしろ強くなっている
- 拍動するような強い痛みや、熱を持った赤みが続く
- 発熱を伴う、患部から膿のような分泌物が出る
- 左右で明らかに状態が異なり、変化していかない
これらは感染や、まれに生じる合併症のサインである場合があります。早めに対応することで、回復をスムーズにできます。とくに発熱や膿を伴う場合は、できるだけ速やかに受診してください。糸リフトは比較的安全性の高い治療とされますが、どのような施術にも一定のリスクは伴います。気になる症状を「いつか引くだろう」と放置せず、早い段階で施術を受けた医師の判断を仰ぐことが、結果的に回復への近道になります。当院では施術後の経過についてのご相談も受け付けており、不安を感じた際にいつでも連絡できる体制を整えています。
ダウンタイム中の正しいアフターケア
回復を穏やかに進めるためには、術後の過ごし方が重要です。施術直後に腫れや熱感が強い場合は、清潔な保冷剤などをタオルで包み、患部を短時間ずつやさしく冷やすと和らぎます。冷やしすぎは血行を妨げるため、長時間の連続冷却は避けてください。
洗顔やメイクは、施術当日は控え、翌日から再開するのが基本です。再開後も、患部を強くこすらず、なでるようにやさしく扱いましょう。糸が入っている部分は、しばらくの間むやみに触れないようにしてください。
睡眠と栄養を十分にとることも、回復を後押しします。組織の修復やコラーゲンの生成にはたんぱく質やビタミンが関わるため、栄養バランスのとれた食事を心がけるとよいでしょう。喫煙は血流を妨げ、傷の治りを遅らせる要因になるため、ダウンタイム中は控えることをおすすめします。糸の周囲ではコラーゲンの再構築が数ヶ月にわたって続くため、この時期に体を整えておくことが、仕上がりの質にもつながります。
高崎CLINIC Wでは、糸リフトを一度きりの大きな施術としてではなく、定期的に重ねていく「コラーゲン貯金」という考え方でご提案しています。糸リフトに加えてHIFUやサーマジェンなどの熱を用いた施術を組み合わせ、こまめにメンテナンスを続けることで、ダウンタイムを抑えながら引き締まった状態を保ちやすくなります。当院の糸リフトには、X字構造のコグを備えたAnchor X(Grand Aespio LFLシリーズ・PDO素材)や、第四世代糸(Artemis Lift・Venus Lift)を症例に応じて使い分けています。糸の挿入や注入の処置は医師が担当します。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 腫れはどのくらいで引きますか? 腫れのピークは術後2〜3日で、見た目の腫れは1〜2週間ほどで落ち着くことが多いです。むくみのほとんどは1ヶ月ほどで解消します。
Q. 腫れを抑える方法はありますか? 施術直後の適度なクーリング、飲酒・激しい運動・長時間の入浴を控えること、患部を圧迫しない就寝姿勢が有効です。塩分のとりすぎはむくみを助長するため、術後しばらくは食事内容にも気を配るとよいでしょう。
Q. 仕事は何日休めばよいですか? デスクワークであれば術後3〜7日で復帰される方が多く、マスク着用で翌日から過ごす方もいます。見た目を重視する場合は1〜2週間みておくと安心です。
Q. 内出血が出てしまいました。消えますか? 内出血は数日から1週間ほどで薄くなり、自然に消えていきます。気になる場合はコンシーラーでカバーできます。
Q. つっぱり感やひきつれはいつまで続きますか? 糸が組織になじむにつれ、2〜4週間ほどで和らいでいくのが一般的です。長く続く場合は一度ご相談ください。
Q. 腫れが心配です。事前にできる準備はありますか? 施術前日や当日の飲酒を控え、むくみの少ない状態で臨むと経過を把握しやすくなります。予定に余裕をもって施術日を選ぶこともおすすめです。
高崎CLINIC W(クリニック情報)
たるみ治療や糸リフトのダウンタイムについてのご相談は、高崎CLINIC Wへお気軽にお問い合わせください。院長による診察のうえ、お一人おひとりの状態に合わせた治療計画をご提案します。
- 所在地:群馬県高崎市東町160-33 AZNOMAビル5F(高崎駅徒歩5分、専用駐車場あり)
- 電話:027-386-2828
- 診療時間:9:30〜18:30
- 院長:髙橋渉(医学博士/東京大学大学院)
