2025.10.9

ワキガの原因とは?体質・生活習慣・対策まで医学的にわかりやすく解説

ワキガ(腋臭症)は、ワキから特有のニオイが発生する状態です。決して不衛生が原因ではなく、体質によるもので、適切なケアと治療で改善できます。本記事では、ワキガの原因から対策、根本的な治療方法まで、医学的根拠に基づいて解説します。

ワキガとは?まずは基本的な仕組みを知ろう

ワキガとは、医学的に「腋臭症」と呼ばれ、ワキから特有の強いニオイが発生する症状です。このニオイは汗そのものではなく、汗と皮膚の常在菌が反応することで生じます。

人間の体には2種類の汗腺があります。エクリン汗腺から出る汗は約99%が水分でほぼ無臭です。一方、アポクリン汗腺から出る汗には、タンパク質、脂質、糖質、アンモニアなどが含まれています。この汗自体は無臭ですが、皮膚表面の常在菌によって分解されると特有の強いニオイを発します。

ワキガは病気ではなく、遺伝的な体質です。日本人では約10〜15%がワキガ体質とされ、欧米の70〜90%と比べて少数派のため、日本ではニオイに対する感受性が高く悩みを抱えやすい傾向があります。

ワキガのニオイは「玉ねぎのようなニオイ」「雑巾のようなニオイ」「牛乳の腐ったニオイ」「鉛筆の芯のようなニオイ」などと表現され、普通の汗臭さとは異なる刺激臭が特徴です。

ワキガのニオイが発生する原因とは

ワキガのニオイ発生には、アポクリン汗腺からの汗と皮膚常在菌が深く関わっています。

アポクリン汗腺から分泌された汗に含まれるアンモニア、脂質、タンパク質などが、皮膚表面の「コリネバクテリウム属」と呼ばれる常在菌によって分解・発酵されることで、強いニオイが発生します。この細菌は本来、皮膚病から肌を守る有益な菌ですが、汗の成分を分解する際に悪臭を生み出してしまうのです。

さらにワキには皮脂腺も多く存在し、ここから分泌される皮脂も常在菌によって分解されニオイの原因となります。ワキは高温多湿で衣服に密閉されているため、細菌が繁殖しやすい環境にあり、これがニオイ発生を促進させます。

アポクリン汗腺の役割とワキガとの関係

アポクリン汗腺は、ワキの下、乳輪、外陰部、外耳道など体の特定部位に分布する汗腺で、思春期以降に性ホルモンの影響を受けて発達します。

アポクリン汗腺の数や大きさには個人差があり、これがワキガ体質かどうかを決定する最も重要な要因です。ワキガ体質の方は、アポクリン汗腺の数が多く、一つ一つも大きく発達しています。

本来この汗腺は、人類の進化過程で異性を引きつけるフェロモンの役割を果たしていたと考えられています。現代社会では不要な機能となり、むしろニオイとして問題になっています。

アポクリン汗腺の分泌は、ストレスや緊張などの精神的刺激で促進されます。緊張する場面でワキガのニオイが強くなるのは、交感神経の刺激でアポクリン汗腺が活発になるためです。

ワキガ体質は遺伝する?家族に多い理由

ワキガ体質は常染色体優性遺伝します。片親がワキガ体質なら約50%、両親ともにワキガ体質なら約80%の確率で子どもに遺伝します。

この遺伝性は、アポクリン汗腺の数や大きさが遺伝的に決定されることに起因します。遺伝的にワキガ体質でも、ニオイの強さには個人差があり、生活習慣やケアで改善可能です。

耳垢のタイプも関連があります。湿った耳垢の方は、外耳道にもアポクリン汗腺が多いため、ワキガ体質の可能性が高いとされます。日本人の約16%が湿性耳垢で、その多くがワキガ体質です。

思春期・ストレス・ホルモンの影響について

ワキガは思春期以降に顕著になります。アポクリン汗腺が性ホルモンの影響で発達し活動が活発になるため、通常10歳前後から思春期にかけてニオイが気になり始めます。

男性ホルモン、女性ホルモンともに過剰分泌されるとアポクリン汗腺を刺激します。特に女性は第二次性徴、月経周期、妊娠・出産、更年期など、ホルモンバランスが変化しやすい時期が多く、ワキガ発症や悪化の可能性が高まります。排卵期や月経前には、ホルモンの影響でアポクリン汗腺の活動が活発になりニオイが強くなる傾向があります。

日々のストレスで交感神経が過剰に刺激されると、多汗症となりアポクリン汗腺が発達してワキガを発症・悪化させることがあります。試験前や面接など緊張する場面でニオイが強くなるのは、このストレス反応によるものです。

睡眠不足や疲労の蓄積、過度のストレスは自律神経のバランスを崩し、発汗調節がうまくいかなくなることもあります。高齢になるとアポクリン汗腺の活動は徐々に低下し、ニオイは軽減していく傾向があります。

生活習慣や食事がワキガを悪化させることもある

ワキガは体質的なものですが、生活習慣や食事内容でニオイの強さが変化します。

動物性タンパク質や脂質を多く含む食事は、アポクリン汗腺からの分泌物の成分を変化させ、ニオイを強くします。肉類、バター、チーズなどの乳製品の過剰摂取は皮脂の分泌も増やし、ニオイの原因物質を増やします。ニンニク、ニラ、香辛料なども体臭を強くします。

アルコールは体内でアセトアルデヒドを生成し、汗とともに排出されて不快なニオイの原因となります。喫煙やコーヒーなどの嗜好品も、代謝の低下や発汗作用でワキガの原因となるため、過剰摂取には注意が必要です。

逆に、梅干し、めかぶ、しいたけ、こんにゃくなどのアルカリ性食品はニオイを抑える効果があります。緑黄色野菜や柑橘類に含まれる抗酸化物質も体臭を抑える働きがあります。

運動不足や肥満も間接的にワキガを悪化させます。適度な運動習慣がないと汗腺機能が低下し、濃度の高いベタベタした汗が出やすくなり、これが常在菌の栄養源となってニオイを強くします。冷暖房の効きすぎた部屋で過ごすと、汗腺の働きが鈍くなって老廃物が溜まることもワキガの原因となります。

睡眠をしっかりとり、運動を行い、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。

自分がワキガかどうかセルフチェックする方法

以下の項目に当てはまるものが多いほど、ワキガ体質の可能性が高いと考えられます。

耳垢が湿っていてキャラメル状、または粘り気がある場合は、外耳道にもアポクリン汗腺が多く存在している証拠で、ワキガ体質の可能性が高いです。

衣服のワキ部分に黄ばみができやすい場合も注意が必要です。アポクリン汗腺の分泌物に含まれる色素成分が衣服に付着し、洗濯しても落ちにくい黄ばみとなります。

ワキ毛に白い粉のようなものが付着する場合、これはアポクリン汗腺の分泌物が結晶化したものです。

家族にワキガ体質の方がいる場合、遺伝的にワキガ体質である可能性が高くなります。

ワキ毛が濃い、または1つの毛穴から2本の毛が生えている方も、アポクリン汗腺が発達している可能性があります。アポクリン汗腺は毛根に付随して存在するため、ワキ毛の量と関連があります。

ワキ汗の量が多く、ベタベタした感じがする場合も、アポクリン汗腺の活動が活発である可能性があります。

自分ではニオイに気づきにくいため、信頼できる家族や友人に相談してみることも一つの方法です。複数の項目に当てはまっても、適切なケアや治療で改善は十分可能です。

ワキガ対策の基本とニオイを抑える習慣

ワキガのニオイを抑えるには、日常的なケアが重要です。ワキガは皮膚の雑菌が原因のため、清潔を保つことが第一の対策です。

汗をかいたらできるだけ早く拭き取りましょう。朝晩の入浴時には、抗菌作用のある石鹸で優しく丁寧にワキを洗います。外出先では、ウェットティッシュやデオドラントシートでこまめに拭き取るだけでも効果があります。

殺菌・除菌効果のあるワキガクリームや制汗剤、デオドラント製品を活用しましょう。朝のお出かけ前と日中に使用することで、ニオイを軽減できます。

通気性の良い天然素材(綿や麻)の衣服を選び、ワキの蒸れを防ぎます。化学繊維は汗を吸収しにくくニオイがこもりやすいため避けましょう。汗をかいたらこまめに着替えることも効果的です。

ワキ毛の処理もニオイ対策として有効です。ワキ毛があると汗や分泌物が付着しやすく、細菌が繁殖しやすい環境になります。

食生活では、動物性脂肪や香辛料を控え、アルカリ性食品、野菜、果物を多く摂取します。水分をしっかり摂ることで老廃物の排出が促され、サラサラした汗をかきやすくなります。

適度な運動習慣で定期的に汗をかくことで、汗腺機能が正常に保たれ、ニオイの少ない汗をかけるようになります。

十分な睡眠とストレス管理で自律神経のバランスを整え、過剰な発汗を防ぎましょう。

これらのケアを継続してもセルフケアだけでは改善が難しい場合は、医療機関での治療を検討することをおすすめします。

ワキガを根本から治療する方法とは

日常ケアで十分な効果が得られない場合、医療機関での治療でより根本的な改善が期待できます。

保存的治療として最も効果的で人気が高いのが、ボトックス注射です。手術に抵抗がある方にもおすすめで、ワキの下にボトックスを注入することで汗腺の働きを抑え、ニオイの原因を抑制します。汗の量が減ることで細菌の繁殖も抑えられ、ニオイが軽減します。効果は通常4〜6ヶ月程度持続し、ダウンタイムがほとんどなく、施術時間も10〜15分程度と短いメリットがあります。

より根本的な治療を希望される場合は、アポクリン汗腺を除去する外科的治療が選択肢となります。

ミラドライは、マイクロ波で皮膚を切開せずに汗腺を破壊する方法です。傷跡が残らず、ダウンタイムも比較的短い利点がありますが、汗腺の除去率は完全ではなく、効果には個人差があります。

剪除法は、ワキガの外科的治療として最も確実性が高い方法です。ワキの皮膚を3〜5cm切開し、医師が直接目で確認しながらアポクリン汗腺を一つずつ切除します。治療効果は非常に高く再発リスクも低いですが、ダウンタイムが長く(2〜4週間)、傷跡が残るリスクがあります。

当院では、侵襲が少なく効果的な吸引シェービング法を提供しています。ワキの下を数mm切開し、細い特殊な吸引器具で汗腺を吸引除去する治療法です。切開範囲が小さいため傷跡が目立ちにくく、ダウンタイムも数日〜2週間程度と短いメリットがあります。施術時間は30分程度、局所麻酔(希望時は静脈麻酔も可能)で行い、抜糸は不要です。完全に汗やニオイがゼロになるわけではありませんが、多くの患者様にご満足いただいています。

治療方法の選択は、ワキガの重症度、ライフスタイル、ダウンタイム、予算などを総合的に判断して決定します。まずは専門医の診察とカウンセリングを受け、最適な治療方法を相談することをおすすめします。

まとめ

ワキガは遺伝的な体質で、アポクリン汗腺からの汗と皮膚常在菌が反応してニオイが発生します。不衛生が原因ではなく、適切な知識と対策で改善できます。

主な原因は遺伝、ホルモンバランスの変化、ストレス、生活習慣です。日常ケアでは、清潔を保ち、こまめに汗を拭き取ること、殺菌効果のある製品の使用、通気性の良い衣服の選択、バランスの取れた食生活が重要です。

セルフケアで改善が難しい場合は、医療機関での治療を検討しましょう。ボトックス注射は手術に抵抗がある方にも適し、ダウンタイムがほとんどありません。根本的な治療としては、ミラドライ、剪除法、吸引シェービング法などがあります。

群馬県高崎市の高崎CLINIC Wでは、東京大学医学博士号を取得し、大手美容外科で院長・技術指導医を歴任した院長が、お一人お一人に最適な治療プランをご提案します。美容診療実績10,000件以上の確かな経験に基づいた治療を提供いたします。

当院の吸引シェービング法は、傷跡が小さくダウンタイムも短く、多くの患者様にご満足いただいています。ボトックス注射での脇汗抑制も高い効果を発揮しています。

ワキガでお悩みの方は、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。高崎駅から徒歩5分の便利な立地で、地域密着の身近なクリニックとして、安心して始められる美容医療をご案内しています。ワキガ治療はQOL(生活の質)を大きく向上させる可能性があります。ぜひ、高崎CLINIC Wにご相談ください。

ドクター紹介

院長 高橋 渉

院長 高橋 渉

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資格

医学博士(東京大学)国際医学論文の執筆多数

所属学会

日本美容外科学会 正会員
日本美容皮膚科学会 正会員

年表

2008年 新潟大学医学部医学科 卒業
2010年 多摩総合医療センター ジュニアレジデント
その後、東京大学医学部附属病院 シニアレジデント、助教
2020年 大手美容外科 入職
その後、高崎院初代院長、品川院院長、技術指導医を歴任
2022年 東京美容医療クリニック、ウィクリニック勤務開始
2023年 吉祥寺アイビークリニック、盛岡美容外科 勤務開始
2024年 高崎でCLINIC Wを開業

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