
目次
トレチノインとは?ビタミンA誘導体の基本情報
トレチノインの基本的な仕組み
トレチノインとは、ビタミンA(レチノール)の誘導体で、表皮の細胞を活性化させてターンオーバーを促進する外用薬です。米国では1971年からFDA(米国食品医薬品局)に認可されており、40年以上の使用実績があります。
トレチノインの作用メカニズム
① 細胞増殖促進:表皮基底層の細胞分裂を活性化
② ターンオーバー促進:通常28日周期を14日程度に短縮
③ 角質剥離作用:古い角質を効率的に除去
④ コラーゲン産生促進:真皮層でのコラーゲン合成を促進
他のビタミンA誘導体との違い
トレチノインは体内でビタミンAが代謝されて生成される最も活性の高い物質です。市販のレチノールと比較して、約100倍の生理活性を持ちます。
- レチノール:穏やかな効果、市販化粧品に配合
- トレチノイン:最も強力、医師の処方が必要
日本では医師の判断により「医師の個人輸入」として処方が可能で、多くの皮膚科・美容皮膚科でシミやニキビ跡の治療に使用されています。
トレチノインで期待できる主な効果とは
美白・シミ改善効果
ターンオーバーを促進することで、表皮の深い層にあるメラニン色素を外に押し出し、シミやそばかすを薄くします。
効果が期待できるシミの種類
- 日光性色素斑(老人性色素斑)
- 雀卵斑(そばかす)
- 炎症後色素沈着
- 肝斑(ハイドロキノンとの併用で)
ニキビ・ニキビ跡改善効果
過剰な皮脂分泌を抑制し、毛穴の詰まりを改善します。角質の正常な剥離を促進することで、コメド(白ニキビ・黒ニキビ)の形成を防ぎます。ターンオーバー促進により、ニキビ跡による色素沈着や軽度の凹凸を改善します。
アンチエイジング効果
真皮層でのコラーゲン産生を促進し、肌の弾力性を向上させます。特に目元や口元の細かいしわに効果的です。
- 肌のきめを整える
- 毛穴の開きを改善
- 肌のざらつきを滑らかに
- 肌の透明感向上
トレチノインが向いている肌悩み(シミ・ニキビ跡・毛穴など)
特に効果的な肌悩み
シミ・色素沈着
- 30代以降の日光性色素斑
- ニキビ跡の色素沈着
- 傷跡の色素沈着
- そばかす
ニキビ関連の悩み
- 大人ニキビ
- 白ニキビ・黒ニキビ
- ニキビ跡の凹凸(軽度)
- 繰り返すニキビ
エイジングケア
- 細かいしわ
- 肌のくすみ
- 肌質の改善
- 毛穴の開き
効果が限定的な症状
深いしわや重度のニキビ跡(アイスピック状の深い凹凸)には効果が限定的です。肝斑は単独使用では効果が限定的で、ハイドロキノンとの併用が必要です。
トレチノインの正しい使い方と併用すべきスキンケア
基本的な使用方法
使用手順
1. クレンジング・洗顔で肌を清潔に
2. 化粧水で肌を整える
3. トレチノインを薄く塗布(米粒大程度)
4. 保湿クリームで十分に保湿
5. 朝は必ず日焼け止めを使用
使用頻度
- 初回:週2-3回から開始
- 慣れてきたら:毎晩1回
- 刺激が強い場合:使用頻度を調整
使用時の重要なポイント
- 適量の使用:過度な使用は皮膚炎を引き起こします
- 段階的な導入:週2-3回から開始し、肌の状態を見ながら調整
夜間のみ使用:光に不安定で、日中の使用は避けます
使用時に起こりやすい副作用と対処法
一般的な副作用
レチノイド皮膚炎 トレチノイン使用により最もよく見られる副作用です。
症状
- 赤み(紅斑)
- 皮膚剥離(落屑)
- 乾燥
- ヒリヒリ感
- 一時的な色素沈着
使用開始から1-2週間で現れ、継続使用により徐々に軽減します。